【バーツール】メジャーカップ/ジガー(measure cup / jigger)

メジャーカップ/ジガー(measure cup / jigger)
メジャー・カップ(measure cup)はカクテルをつくるときに使う酒の計量器具で、横から見ると、二つの台形の短辺を背中合わせにしてくっつけたような形をしているのが特徴です。
メジャー(measure)とは、「計る」という意味で、日本語では巻き取り式の物差しを指している「メジャー」がこの言葉にあたります。「メジャー(major)/マイナー(minor)」と対比になる「メジャー(major)」とは発音が同じでも、綴りが異なっています。
ステンレス製のものが多く、30mlと45mlのカップが背中合わせになったものが一般的に使用されています。しかし、30mlと60mlの背中合わせやその他のサイズでも、慣れればだいたい目分量で把握できますし、実際にカクテルを作る際には、使用するスピリッツやリキュールの銘柄で微妙に味わいが異なり、計量も経験と勘によって行うことになりますから、「30mlと45mlでなければならない」とか「30mlと60mlの方が使いやすい」とか主張するのは、ナンセンスという気がします。
使用する際は、人差し指と中指を使用して持つのが一般的です。人差し指を手前に、中指を向こう側にして、はさむようにして持ちます。薬指と小指は、好みによって手前側に添えても、向こう側に添えても良いのではないでしょうか。
メジャー・カップ(measure cup)を垂直にして材料を注ぎ、手首をむこう側にひねってメジャー・カップを水平に倒すようにして、材料をグラスに注ぎます。バーでバーテンダーの動きを見慣れれば、「スッキリとした注ぎ方」と、「そうでない注ぎ方」があるというのが、一目瞭然に分かってしまいます。これは、やはりどれだけ熟練しているかがモノをいうと思います。
様々なバーに伺わせていただきましたが、私は、バーというものは「バーテンダー(マスター)」の個性が決定打になるものである、と考えています。どんなに内装が優れたバーでもバーテンダー(マスター)との相性が合わなければ心地よい時間は過ごせませんし、バーテンダー(マスター)のサービスや熟練度によっては、好みに合わないような雰囲気でも素晴らしい時間が過ごせると考えています。
ですから、メジャー・カップのようなバーテンダーにとってのマスト・アイテムも、そのバーテンダー次第でどのようにも使いこなせるのではないでしょうか。「30mlと45ml」とか「30mlと60ml」とかは、細かい要素だと思っています。好きなもの、気に入ったものを選べば良いと思います。
なお、「メジャー・カップのことをジガー・カップということもあるが、これは和製英語で間違った使い方だ」とよくいわれますが、Google で "jigger" を検索すると分かる通り、実はメジャー・カップに対して「ジガー(jigger)」という言葉は、しっかり使用されています。
手持ちの辞書(ジーニアス英和辞典の電子辞書版)を引いてみても、しっかりと「ジガー《酒類を計る容器:通例1.5オンス/ジガー1杯分の酒》」と掲載されています。
このことから、「ジガー(jigger)」は「容器」あるいは「容量」を指す単語であり、「ジガー・カップ(jigger cup)」と、"cup" をつけて発音することが間違っている、というのが本当のところのようです。言ってみれば、「頭痛が痛い」と、同じようなレベルの誤りである、というところではないでしょうか。
つまり、「メジャー・カップ(measure cup)」もしくは「ジガー(jigegr)」と呼ぶのが正しい用法、と考えればよいのではないでしょうか。