「ブランデー」が初めて文献に登場したのは、13世紀ごろと言われています。スペインの医師・錬金術師のアルノー・ド・ビルヌーブ(Arnaud de Villeneuve)が薬としてワインを蒸留していたと言われています。
現代科学の発達の原点として錬金術は人類の文明に大きな影響を与えましたが、ブランデーに限らず、お酒の歴史にも錬金術が果たした役割は大きいです。形を変えること、性質を変化させることへの情熱が、様々なお酒を生み出してきたのです。
産業としての本格的な「ブランデー」が誕生したきっかけには、いくつかの説があるようです。一つは、17世紀中頃、ぶどうが生産過剰で大量のぶどう酒の保存に困った際に、蒸留技術で容積を減らすやり方を知ったことがきっかけで生まれたという説です。
ぶどうの名産地であるシャラント地方で作られるワイン(ぶどう酒)が豊作の際に生産過剰になり、その処理に農民たちが困っていました。たまたま17世紀の初めに蒸留技術を知ることになり、それが生産過剰だったぶどう酒の容量を減らすことに結びついたのです。
ぶどう酒を蒸留してブランデーにすると、容積は半分近くになります。そうすれば、運搬や処理も容易にすることができ、このアイデアが処分の手間や保管場所に困っていた農民たちを救ったのです。